代表ご挨拶
生産設備への積極的な投資と、熟練技術の伝承
世界のものづくりに貢献するニットディベロッパーへ
弊社が1967年にストレッチ・ファブリックの製造を開始した当時、そこで使われるポリウレタンはまだ新しい素材でした。加工技術は未成熟で、何をするにしても一から開発せざるを得ない状況でした。そのため弊社は、ノウハウを蓄積するために積極的な投資をし、失敗を重ねながら数多くの生地を開発して来ました。私たちは、その50年以上に及ぶ取り組みによって弊社こそがストレッチ・ファブリックの基礎を築いてきたという自負を持つとともに、そこで蓄積した技術とノウハウはどんなに資本力を持った海外メーカーでも易々と追随できるものではないという自信も持っています。
ただし、私が社長に就任した1990年代末期以降、ストレッチ・ファブリックは決して珍しい素材ではなくなりました。今やストレッチ・ファブリックはパーツだけではなく、ジーンズやアウターの身生地にも使われ、市場には海外での大量生産品があふれています。そのクォリティも年々高まっており、現状に留まっている限り、いずれ弊社の優位性も失われることは必定です。
このような認識のもと、弊社は近年、従来にも増してオリジナリティと付加価値の高い素材開発に尽力してきました。新しい生産設備への投資と、若い人材に対する技術の伝承を並行して行うことで、ハイテクとローテクを融合させた、他社には真似の出来ない独自のものづくりを進めています。そこで生まれる高付加価値素材の納品先は、国内のみならず、ヨーロッパやアジアへと広がっています。
過去数十年の間に、国内の繊維業界では、ものづくりをしている企業が少なくなりました。メーカーにおける製品開発も、海外での量産を前提に進めることが当然のこととして定着してしまっています。しかし現実としては、現在においても、川上から川下に至るまで国内でものづくりを行うことは可能なのです。それは長年にわたって自ら積極的に動き回り、様々な染工場や縫製工場などと協力してものづくりを行ってきた弊社だからこそ把握できる実態です。
今後はこのような弊社だからこそ得られる情報を駆使し、これまでに蓄積した技術や知識、ノウハウをよりグローバルに展開できる仕組み作りを行い、国内はもとより、世界中の多様性を深めるものづくりに貢献するニットディベロッパーとして、さらなる進化を遂げていきたいと考えています。
代表取締役間宮 武志